≪上級レベルのパーソナルトレーナーの到達点その4≫
巨大なニーズに応えられる指導力 その3
東大22世紀医療健康センターは、
● 50歳以上の60%が、変形性脊椎症である
と指摘しています。
これは、考えてみれば大変な数字です。
中高年者の大半は、正常に脊髄神経が働いていない、ということを意味していることなのです。
もちろん、これはクスリで回復できるものではありません。
周囲の筋群のバランスを整えて、変形した椎骨に適切な刺激を与えることで、回復への治癒能力を高めることができるものです。
つまり、
これは―――通常の医療機関ではなく、通常の街の治療院ではなく、フィットネス現場に関る上級レベルのパーソナルトレーナーが担う問題なのです。
なぜならば・・・・
● 適切な筋群のバランスを回復するためには、適正な「エクササイズ」が必要となるからです。
● 歪んだ脊椎を再調整して、最適なポジションに復位させる―――つまり、逸脱した椎骨を正常なポジションに戻せる能力が要求されるのです。
それによって、歪んだ身体を 回復させる必要があるからです。
このことは、「クスリ」では解決できません。
● また、通常の治療院でも、適正な脊椎のポジションに復位させられても、適正な「筋バランスの回復」を図る「エクササイズ」を 行うことはありませんので、
最適な結果は 期待できないことになります。
だから、巨大なニーズを開発して、「エクササイズ」と「身体の再調整」の行える パーソナル指導が主体になっていくのは、必然なのだ―――といっているのです。
医療の実態を、もう少し述べておきたいと思います。
というのは、「クスリ漬け医療」や「高騰する医療費」は、日本だけの問題ではないからです。
米国の医療の実態を知ると、このことはよく理解させられます。
● 米国における西洋医学の医師は、順調にいっても開業するには30代前半となってしまうのです。20歳代では一人前の医師にはなれないシステムになっています。
つまり、
● とてつもない時間と経費をかけて医師になったからには、それを取り返して裕福になるためには、医療費を高騰させるしかない、という実情があるのです。
米国においては
● 日本と違い、国民皆保険のシステムになっていない。保険に加入するには、自分の意思で保険会社に高い保険料を支払う必要がある。
● だが、低所得層の人々はこの保険料が払えない。現金がないと入院もできない。その結果、病気が蔓延する一因となっているともいわれている。
● 盲腸で入院すると約200万円必要となる。だから、手術を受けても入院しないで、そのまま帰宅してしまう。入院しただけで金がやたらにかかるからである。
● ガンにかかると、保険に入っていない場合、家を売っても医療費を払いきれない、といった実態がある。
● 黒人などの低所得者層は、金がなければ、入院手続きさえもできない状況となっている。
このような状況を、オバマ大統領は知っていたからこそ、医療費改革を宣言していたのです。
つまり、
● カイロプラクティックのような、『医療費が安い』『クスリのいらない手技』を、統合させようとしている。
のです。
カイロプラクティックは、2006年にWHOが正式にその有効性を認めて、ガイドラインを発表しています。
それによると
● カイロ教育には4200時間が必要
● 西洋医学のドクターの資格を持っている人でも、2300時間以上が必要
としています。
だが、これは実際には極めて困難な数字です。
● 専門大学レベルでの教育を受ける必要性があるということであり、現実問題として社会人である限り、ひじょうに困難となります。
そんな必要はないのです。
● 身体の構造体や機能が理解できればできるほど、対処はよりシンプルになる(これについては、別途)。我われが行っているホリスティック・コンディショニングは よりシンプルであるが故に、有効である。
● 予防医学という観点から、フィットネス施設で体軸を確保させる指導こそが、最良の結果を導ける。
● 街の治療院(針灸・整骨・カイロなど)では、自動運動(運動・エクササイズ)が実施されない。
だが、
● 自動運動と身体の調整を併用することが、より良い効果を生み出す。
からです。
さて、
世界的に著名なアンドルー・ワイル博士などは、
「巨額に膨れ上がった米国の医療費を下げて、効果的な医療を実現するには、
西洋医学だけでなく、代替医療であるカイロプラクティックや東洋医学なのを複合させた統合医療に解決策を見出す以外にない」
と、断言しています。
実際、
● 現在の医学は、西洋医学から統合医学へ変わる方向に向かっています。
● クスリ漬けの医療に疑問
を持つのは、いわば必然であるからです。
そして、
● 小児科、産婦人科、脳外科は激減している。
● 医療トラブルが多く、訴訟問題を嫌がる傾向を反映しているからですが、今後は、ホリスティックな医療に活路を見出そうとしています。
これもまた、必然であり、究極的には「外傷事故」などに対処する医療(整形外科など)と、予防医学を含めた統合的な医療の2本柱に集約されていくものと思われます。
このことはまた、
● パーソナルトレーナーも、2極化が一段と進む―――ということになると思われます。
誰でも
● 今のまま(半健常者)でよいとは、思っていない。
● 健康体であるには、フィットネス施設に行って、運動する必要があることは理解している。
● テレビなどで紹介される健康エクササイズは、(過去の経験から)自宅では絶対に続けられないと思っている。
また
● パーソナルトレーナーで運動を指導されても、その場ではリフレッシュされて気持ちよいが、自分の抱えている疾病を治してもらえるとは思っていない。
という状況があります。
つまり―――
● 運動不足であることは、実感しているが、やる気が起きない。
● どうしようもなくなったら、医療機関に行けば何とかなる。それまでは、現状の生活を改善する気は実際にはない。
● 病気を治すのは医療機関であり、病気予防は自分自身で生活習慣を変える以外にない。
と思っている。
恐らく、これが大多数の人の思考パターンであろうと思われます。
これを―――変えるのが、上級レベルのパーソナルトレーナーであり、社会的な責務であるとさえ、私は考えています。
一般的なパーソナルトレーナーと上級パーソナルトレーナーとの絶対的な相違は、
● 非健常者(疾病などを持っている)を、健常者にできるか否か
にあるのです。
はっきり言って、
● マッサージ系の手技で気持ちよくさせるテクニック
を、いくら駆使しえも体軸を確保することは難しい。
● クライアントの「体軸を確保して、生体エネルギー循環を正常にする」ことで、本来的な自然治癒力は高められるが、通常のアプローチの多くが、体軸の確保の視点で判断すると、不十分であると思われる。
解りやすく表現すると、「治せるか」「治しきれないのか」といった相違―--これこそが、両者を明確に分別するポイントとなるのです。
● 「治せるレベル」にするには、「体軸を確保」して、「正常なエネルギー循環を回復」して、身体が本来持っている「自然治癒力」を高める以外には ありません。
まだまだ、上級レベルと そうではないレベルとの相違はありますが、別の機会に譲ります。
さて―――
● 現在のパーソナルトレーナーの大多数が、『運動指導』と『癒し系のマッサージ/ストレッチ』などを組み込んで、
クライアントに「満足感」をもたらす指導をしている。
● この満足感があるからこそ、次回も継続して指導を依頼するのですが、高齢化が進んでいる現在のような社会情勢になると、「満足感」を得るだけでは立ち行かなくなってきます。
● 切実な「半健常者」「半病人」の状態にいる方が 飛躍的に増えているからです。
一方で、さらなるストレス社会が様々な体調不良を生み出していく。そのため、
● 人々は病気/体調不良を治す「必要性」を優先するのか
もしくは
● 気持ち良くリフレッシュされた「満足感」を得るのか
といった二者択一を迫られる状況となってきます。
要するに、『満足感を得る』のか『身体に必要なこと(治療系エクササイズ)をやってもらう』のかという選択を迫られた場合、必要性の高い方を選ばざるを得ないことになるのです。
つまり、
● クライアントは、フィットネス施設において、身体の異常な部位/体調不良を治してくれるパーソナルトレーナーを選択するようになる。
ということです。
恐らく、「糖尿病なので、指導・調整をお願いします」といってパーソナルトレーナーの指導を受ける方は、まだまだ少ないと思われます。
だが、
● 全国民のおよそ6人に一人は、糖尿病もしくはその予備軍
● 50歳以上ともなれば、3人に一人は糖尿病もしくはその予備軍
といわれている実態があります。
糖尿病とその予備軍は、その一例ですが、これこそ巨大なマーケットなのです。
糖尿病だけではありません。
● クスリで治らない疾病は山ほどある。
● 本質的に、糖尿病はクスリの処方だけでは、十分な効果を上げられない。適度な運動エクササイズを併用することで、大きく改善される。
ことが解っています。
いや、
● クスリで治らないからこそ、パーソナル指導者が身体を調整して、最良のコンディションに導いてやる必要性があるのです。
つまり―――体軸をしっかりと確保できるようにしてやるのです。
身体を治すのは自分自身の治癒力によるもので、他人が治すものではありません。
我われは、この自分自身で治す力を、最大限に引き出せるようにお手伝いするのです。
ホリスティック・コンディショニングのアドバンス・コースは、基本的にはこの対処ができる人材の育成に主眼が置かれています。
だから―――人を「癒せる」だけではなく、「治せる(体軸を確保して、生体エネルギーが正常化する)」ようになることが、指導プログラムの主体となっています。
この潜在的に巨大なニーズに対して、フィットネス施設がこのニーズに対処できる方向に踏み込むということは、
● 巨大なマーケットに対処できるような上級レベルのパーソナルトレーナーのニーズが、さらに一段と高まってゆく。
ということでもあります。
これは間違いなく、時代の必然である、と思われます。
本稿の最後に、もう一つ重要なことを述べておきます。
病気の人を治すような分野に踏み込むと、医師法や他の治療系の有資格者との問題が生じるのではないか、という危惧についてです。
その点、
● まったく問題はありません。
その理由は、
だから、パーソナルトレーナーという職業として、自信を持って行うのです。
また、
● 医療資格がないのに、医療行為を行なったとして最高裁まで争った事例があります。これは
このような経緯を知らない人や無知な人は、「拇指―小指の筋反射チェック」ですら「医師法に触れるのではないか」ということを、今でも口にすることがあります。
まったく心配ないのです。堂々とホリスティック・コンディショナーとして、振舞って頂きたいと切望しています。
つづく
- 2015年5月5日記