生命体エナジー浄化の会ブログ

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将来、要介護・自立生活困難にならないために 1

《 将来、要介護・自立生活困難にならないために 1 》

 現在の国民医療費は、我が国の国家予算100兆円のうち、約35%を占める莫大な経費を必要としています(国家予算額は、米国、中国、ドイツに次ぎ、世界4番目の規模です)。

 

大雑把に言えば、「国家予算の半分近くが、国民医療費が占めている」ということになります。

 

それは―――高齢化が進む我が国が抱える大きな問題であり、高齢者の大半が医療費の保険診療に頼っていることに、根本的な問題があります。

 

特に、健康寿命と要介護を受けなくてはならない状態で生活する非健康寿命の問題は、多くの高齢者の大きな問題です。

 

日本人の平均寿命は、男性81.41歳、女性87.45歳です。

しかし、何も問題なく生活できる「健康寿命」は、男性72.14歳、女性74.79歳なのです。

 

つまり、平均寿命では日本人は世界一とされながら―――

 

残りの10年間は、平均寿命と健康寿命の差が「延命期間(健康に生活できない期間)」であって、介護費用などの出費が必要とされているのです。

 

このことは、長生きしていても、健康寿命そのものを延ばさなくては、人生の晩年には悲惨な状態が待ち受けていることを意味しています。

 

もし、家族もいなくて、一人きりで生きている高齢者の方は、自分の晩年を考えると十分な老後資金が必要であり、

 

さらに、多くの高齢者が抱える問題となっている「認知症」に罹ると、十分にあるはずの老後資金ですら、正しく自分の老後資金に充当できるのか否かすら、解らないことになってしまう可能性もあります。

 

認知症」では、銀行の管理が不十分となり、家族がいればともかく、悪意のある第三者が介入すれば、悲惨な結果を招く事態に陥る可能性すらあるからです。

 

特に―――配偶者の妻に先立たれた男性高齢者は、通常は5年ぐらいで身体はボロボロになって亡くなります。

 

それは―――たとえ配偶者と触れ合うことがなくても、一緒に生活することで、男性は女性から生命体のエナジーをもらっているからです。

 

男性は、大地や樹木からは生命体のエナジーを吸引することはできないようです。

しかし、

女性は、大地や樹木からは生命体のエナジーを吸引することができますので、「夫」に先立たれても、さらに数十年と生きつづけることができるのです。

 

 

自分の親の介護のために仕事を辞めた方もいますし、親を介護施設に入れるための経費を捻出するために、退職金を前借りする方もいます。

 

亡くなる前日まで元気に動き回っていて、朝起きたら亡くなっていたという「大往生を遂げる」のが理想ですが、寝た切りで10年間の過ごすようなケースは最悪です。

 

その面倒をみる家族の負担は、並大抵のものではありません。

 

過疎化が進む山間部の集落などは高齢化が進み、廃村などが深刻化しています。

 

都会でも、自立して生活している高齢者の老人は減少の一途をたどり、高齢者の介護をする人の時給が低く、介護者の不足が国家的な問題にまでなってきています。

 

このような現状の中で、我々ができることを考えてみました。

 

まず、要介護の「前段階」である「フレイル」について、簡単に解説します。

 

フレイルとは、海外の老年医学の分野で使用されている英語の「Frailty(フレイルティ)」が語源となっています。

これは―――日本語に訳すと「虚弱」や「老衰」、「脆弱」などを意味します。

 

日本老年医学会は高齢者において起こりやすい「Frailty」に対し、正しく介入すれば戻るという意味があることを強調したかったため、多くの議論の末、「フレイル」と共通した日本語訳にすることを2014年5月に提唱しています。

 

フレイルは、厚生労働省の報告書では―――

「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、

一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」とされており、健康な状態と日常生活でサポートが必要な介護状態の中間を意味します。

 

多くの方は、フレイルを経て要介護状態へ進むと考えられていますが、高齢者においては、特にフレイルが発症しやすいことがわかっています。

 

高齢者が増えている現代社会において、フレイルに早く気付き、正しく介入(治療や予防)することが大切となります。

 

フレイルの基準には、さまざまなものがありますが、多くは次のものです。

基準となるものには5項目あり、3項目以上該当すると「フレイル」、

1または2項目だけの場合にはフレイルの前段階である「プレフレイル」と判断します。

  1. 体重減少:意図しない年間4.5kgまたは5%以上の体重減少
  2. 疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3-4日以上感じる
  3. 歩行速度の低下
  4. 握力の低下(簡単に握力計で測れますから、これが用いられます)

しかし私は、下肢の筋力低下が顕著なのに比べて、握力の低下は顕著ではないことから、少し否定的です。

  5、身体活動量の低下

「フレイル」には、体重減少や筋力低下などの身体的な変化だけでなく、気力の低下などの精神的な変化や社会的なものも含まれます。

 

フレイル状態に至るとどのようなことが起きるか―――

フレイルの状態になると、死亡率の上昇や身体能力の低下が起きます。

したがって、何らかの病気にかかりやすくなったり、入院するなど、ストレスに弱い状態になっています。

 

例えば健常な人が風邪をひいても、身体の怠さや発熱を自覚するものの数日すれば治ります。

しかし、フレイルの状態になっていると風邪をこじらせて肺炎を発症したり、怠さのために転倒して打撲や骨折をする可能性があります。

 

また、入院すると環境の変化に対応できずに、一時的に自分がどこにいるのかわからなくなったり、自分の感情をコントロールできなくなることもあります。

 

転倒による打撲や骨折、病気による入院をきっかけに、フレイルから寝たきりになってしまうことがあります。

フレイルの状態に、家族や医療者が早く気付き、対応することができれば、フレイルの状態から健常に近い状態へ改善したり、要介護状態に至ることを減らせる可能性があります。

 

では、実際にフレイルの状態には、どのくらいの比率で出現しているか―――

 

4000人以上の在宅高齢者の調査によると、実に4人に一人がフレイルです。

そして、

65歳でフレイルであれば、その後早い段階で「要介護」「認知機能低下の状態」に入るとされています。

 

この調査からは、フレイルの人は、3年後にはこの問題に入る方が、そうでない方の2.4倍も高いことが示されています。

 

ところで―――健康とは、「病気でない状態で、元気に活動できる体力があること」と定義されたときに、では、「体力」の最も重要な要素とは何か?

 

私は、サラリーマンをリアタイアして、現在の治療家の道に進む以前には、サラリーマンでありながら、休日の多くを講習会の講師として活動することが多々ありました。

 

講習会の主体は「筋トレ」が主ですが、「健康」をテーマとした講座も数多く経験していました。

 

その当時、「体力とは何か」というと、体協の講習会でもその他の公的な講習会でも、壇上に立つ講師の運動生理学者などは、例外なく「有酸素運動系(エアロビクス)」がメインとしなくてはならない、と発言していました。

 

というのは―――

 

1960年代に米国にケネス・クーパーという学者がいて、「体力の第一は、まず呼吸循環器系の向上を目指さなくてならない。

筋力とレーニンは、無理に行わなくても、エアロビクス能力が高まれば、健康でいられる」

と主張していました。

 

この主張を日本の多くの学者が信じて、一様に「健康のためには、エアロビクスをやりなさい」と言っていたのです。

 

このことは、当時のスポーツ選手にも多大な影響を与えていました。

現在と違い、昔のスポーツ選手は、筋トレを毛嫌いしている選手が多くいました。

 

それは、選手を指導する監督・コーチの影響で、

「筋トレをやると、スピードが落ちる、身体が硬くなる。

筋トレで造り上げた筋肉は、太くて大きい筋肉になるが、硬くなる。

体操選手のような、細くても柔らかい筋肉を造るのがよい」

と、多くの方が一様に信じていました。

 

私も体協のスポーツトレーナー講習会で、運動生理学の日本の第一人者が、

筋肉トレーニングは、やり過ぎてはだめだ。

そのような筋肉は、スポーツには生かせない」

という発言をしていました。

 

私の師匠である故窪田登、元早稲田大学教授、吉備国際大学学部長からは、このような間違った見解を、幾度も聞かされていました。

 

窪田登先生は、「トレーニング界の最高権威」と言われていた方でした。

その先生から、直接多くのことを学ばせて頂いていました。

 

私の健康講座では―――

「スポーツ選手は、筋トレをやらなくて、世界に勝つことができない!」

「高齢者ほど、筋トレが必要になる。

高齢者は、歩くだけで健康は保てるので、筋肉を鍛えるようなことはしなくてもよい、とうのは正しくない」

と、主張し続けていました。

 

他の有名な大学教授の講座では、「体力は、エアロビクスが第一」と言っているのに、私の講座では、高齢者ほど、筋トレが必要になる」というので、なぜそうなるのかと、論争を引き起こしたことがあります。

 

当然、有名な教授の話が正しいと思われましたし、特に「高齢者には、筋トレが必要」という主張には、あまりにも時代がまだ早すぎる感がありました。

 

その当時に、マシーンで筋トレが必要です。だが、その上をいくならバーベル、ダンベルなどのフリー・ウエイトが望ましいのです―――と言っていたのです。

 

その後の受講者との懇親会では、著名な教授なども加わり、この件で私と教授との論争に発展したこともありました。今では、よき思い出です。

 

例えば、高知県で行われた健康講座で、野球選手と筋トレの話となり、当時注目を集めていた蔦監督率いる徳島県の池田高校が、甲子園で大活躍をしました。

 

選手は「攻めダルマ」と呼ばれるガタイの凄い選手が多く、甲子園で優勝3回、準優勝2回の好成績を収めていました。

 

蔦監督は、まず身体の出来上がっていない高校1年生には、徹底して筋トレの基礎を造り上げて、それで2年生、3年生で活躍できるようにしました。

 

それで、ガタイのいい高校球児が「攻めダルマ」の異名をとったのです。

これを知った当時の巨人軍の長嶋監督は、「高校球児の革命である」と表現しました。

 

講座の参加者には、高知県の各地から野球部関係者がおりましたから、このような話をしました。

 

これを聞いていた高知新聞の記者が、その日の夜の懇親会で、

「池田高校には、たまたま優れた素質の選手がいたからで、高校球児の革命とはならない」と発言したことに、私は大の長嶋ファンであるので、カチンときて論争になりました。

 

というのも、当時のプロ野球選手は、筋トレなど皆無、「箸より重いものは持ったこともない」と自慢するプロ野球投手さえいたのです。

 

私は国立競技場のトレーンングセンターにいましたので、多くの方と接していました。

そんな時に、400勝投手の金田正一がロッテの監督をしていたときに、大リーグのラフイーバー(後に大リーグの監督)が、筋トレをしていました。

 

彼は、金田監督を「クレージー!」と表現していました。

筋トレは、選手に一切やらせないし、ひたすら「走って体力を造り上げることlを徹底していました。

 

これに耐えられなくて、一人で国立競技場のトレーンングセンターで筋トレをやっていたのです。

 

今では考えられないことですが、昔の選手は「走って、体力をつける」と信じ込んでいました。

 

走ることは、スポーツ選手の基礎中の基礎ですが、日本のスポーツ選手は、昔はほとんど筋トレをやりませんでした。

 

そんな中で、池田高校の高校球児が、筋トレに励んで「ダルマ」と呼ばれるほどに大きくなった体格で、猛烈な打線で甲子園を沸かせたのです。

 

その後、少しは筋トレをやる高校生もいましたが、

「背が伸びなくなる」

などの迷信が知れ渡り、積極的に行うことはなかったようです。

 

私も昔は、1960年の東京オリンピックの金メダル第一号となった三宅義信選手が、初めは身長1M62センチだったのが、重量挙げで背が縮まって、1M52センチになったという話を聞いたことがありました(当然、嘘です)。

 

そんな折、当時万年最下位であったヤクルトに、元巨人の広岡達郎氏が監督となり、国立競技場のトレーニングセンターで、筋トレを開始したのです。

 

というのは、広岡監督自身も筋トレはやっていませんでしたが、大リーグではシーズン中であっても筋トレをやっているとう話を耳にして、監督1年目にして筋トレを取り入れたのです。

 

広岡監督はその1年間だけでフロントと意見が合わずに退団しますが、その監督になって1年目でいきなり優勝します。

 

このとき、私は国立競技場のトレーニングセンターで実際にヤクルトの選手をみましたが、当時のプロ野球選手は、噂通り、まったく身体は鍛えられていませんでした。

 

先天的な体格だけが優れていたようで、本格的に筋トレで鍛え上げたというような選手は、ほとんどいませんでした。

 

ただ、若松選手(彼なら日本人初の4割バッターになれるといわれていた)だけは、高い身体能力で、腹筋なども優れた能力を示していました。

 

甲子園で活躍した投手の酒井選手(愛称はサッシー)は、でかい身体でしたが、まともに腹筋ひとつもできないほどでしたので、「これではプロでは通用しない!」と思いましたが、案の定その後も鳴かず飛ばずで消えていきました。

 

その当時、漫画「たぶたくん」で人気のあった安田投手などは、緩急を上手く使いこなし、当時の審判団からは「最も速く見える投手」とされていましたが、懸垂すら1回もできない有様でした。

 

こんな状態でしたが、その年ヤクルトは優勝したので、筋トレに無縁だった野球選手が筋トレ(レジスタンス・トレーニング)を行う大きな切っ掛けとなったようです。

 

 その後、甲子園で一世を風靡した桑田真澄選手がプロ野球に入り、ノーチラスマシーンを使い、プロ野球に入って、1年目で大腿部が格段に大きくなったことを知りました。

 

このことは言い換えると―――高校時代には本格的に筋トレはやっていなかかったことの裏返しで、PL学園なら近代的な設備のなかで、しっかりと筋トレを行っていたものと思っていましたが、そうではなかったようなのです。

 

さて―――高齢者こそ筋トレが必要という話です。

 

当時のスポーツ選手の多くが筋トレを敬遠していたなかで、「高齢者こそ筋トレが必要」という私の話には、その当時には多くの講座の参加者は驚いていました。

 

スポーツ指導者ですら、「高齢者は、歩くだけで十分に健康になれるもの」といった風潮が浸透していたからです。

 

当時は、運動生理学者はその多くがケネス・クーパーのエアロビクス理論に染まり、まず、体力・健康のためには「走ること」を薦めていました。

 

これを受けて、多くのドクターも「走ること」を薦めていて、筋トレは「身体に良くないから、高齢者やってはならない!」とTVでも、専門外ながらも平然として発言している有様でした。

 

そんな折に、私の師匠である窪田登(みのる)先生は、40代になって『40歳から始める筋力トレーニング』を上梓して、その後年齢を重ねて『50歳から始める筋力トレーニング』となっていき、高齢者になるほど筋トレが必要なことを訴えていました。

 

弟子の一人である私も、ゆるぎない自信を持って、私の講座でもそのような発言を繰り返していたのです。

 

そして現在、様々な観点から筋トレの必要性が見直されてきて、「ダンベル体操」も普及して、NHKの「ラジオ体操のその第3」には、「ダンベル体操」が加えられる議論まであったと聞き及んでいました。

 

全米での高齢者の死因の第5番目には、「転倒骨折」で、その後「寝た切りになって死亡する」が入ります。

 

我が国でも、「転倒骨折」で、その後「寝た切りになって死亡する」例は多いのです。

昔、といっても1960年代のケネス・クーパーは、体力の最重要は呼吸循環能力であり、筋トレは高く評価していませんでした。

 

そんな当時、米国の運動生理学者のモアハウスは、

「ケネス・クーパーは、間違っている。

健康のためにのフィットネスは、トータルフィットネスが重要であり、そこには、筋トレも含めたトータルなフィットネスが必要で、偏ったものであってはならない」

と、当時全米でも大流行していたケネス・クーパーの理論を否定していたのです。

 

その後、エアロビクス一辺倒であったケネス・クーパーは、

「これだけでは、身体に身体的なバランスが崩れることに気がついて、ことに身体をシェイプアップするには、筋トレが必要であることを自覚して、エアロビック・ウエイトトレーニング」を推奨するようになっています。

 

ケネス・クーパー自身は、このようの自分の主張を修正することになりますが、

「エアロビクス理論」にはまっていた我が国の運動生理学者などは、依然として古い理論に染まっていました。

 

しかしながら―――

 

映画俳優やモデルなどは、シェイプアップして、自分の美しい身体の体型を保つには、筋トレが絶対的に必要なことに気が付いていました。

 

すでに米国などのモデルは、一流モデルと云われほどに、マシーンではなくて、フリーウエイト(バーベル、ダンベルなどの自由な方向に動くもの)を使用して、身体を鍛え上げていました。

 

昔から、女優やモデルなども「エアロビクス」を行うことが多かったのですが、これだけではバストアップができず、目指している身体の美ボディを保持できないことに気が付いていました。

 

自分の身体が資本となるモデルは、シェイプアップしないと身体のラインが崩れるので、それを防ぐには、絶対的に筋トレが必要になることを理解していました。

 

そのときに、2流のモデルはマシーンを使いますが、一流になるほどフリーウエイトを使用して、多角的に鍛え上げることに専念していたのです。

 

今でこそ、日本のモデルもシェイプアップするために、パーソナルトレーナーについて鍛えるようになりましたが、それ以前の日本人モデルは、そのような概念がなくて、

 

持って生まれた先天的な体形の良さだけに頼っていて、年と共に身体のラインが崩れてきて、第一線からの隠退を余儀なくされていたのです。

 

さて―――筋肉不足は、30歳を過ぎると減少に転じます。

 

鍛え上げている方ならば、筋力・筋量ともに30代前半から、さらに継続的に鍛えている方なら40代までも、発達を続けていきますが、

 

多くの方は、若い時の体力を保つのは、20代までで、30歳を過ぎるとドンドン退化していきます。

 

学生時代に、ハードなトレーニングを続けて、しっかりとした土台を造り上げた方も、社会人となりフィットネスクラブに行って、身体を継続的に鍛えることができなくなってきます。

 

ところが―――体重は変わらないから、自分はまだ問題はない―――と、感じている方が多くいます。

このことは、多くの元アスリートが陥る問題があります。

 

実は―――

筋肉は鍛え上げていかないと、継続していかないと、確実に機能が低下して、筋量も低下していきます。

 

社会人になって何もしていないと、確実に「筋量」は落ちていきます。

そして―――体脂肪は確実に増えていきます。

 

最初は、このことで体重には大きな変化が見られません。

筋量の体重減少と、脂肪の体重増量があって、体重の変化は見られないのです。

 

だから、安心していますが、筋量の低下が限界点に達して、それ以降は、どんどん体脂肪が増えていきますと―――

 

体重増加に切り替わり、気が付いたときには、成人病予備群の仲間入りの状態であった、ということが、多くの人々が陥る問題でもあるのです。

 

加齢に伴い筋肉が低下している状態を、「サルコベニア」といいます。

 

これは、ギリシャ語の「筋肉」を「サルコ」と言い、「喪失」を表わす「ベニア」を組み合わせた言葉です。

 

この「サルコベニア」は、虚弱を示す「フレイル」の前段階です。

つまり、運動不足が筋肉の喪失を招き、身体機能が低下している状態で、

 

このことが、「転倒」「骨折」「寝たきり」を引き起こす「フレイル」を通して、いずれは「要介護」「認知症」へと進行することに繫がっていきます。

 

つまり―――

虚弱を示す「フレイル」の前段階である「サルコベニア」を防ぐことが、まず人生の晩年を悲惨な状態で迎えるのか否か―――の大きな岐路になります。

 

その昔、私の講習会で「高齢者ほど、筋トレが大切です!」と言い放って、多くの参加者には驚かれた経緯がありましたが、現在では、そのような風潮は消えてきています。

 

当時は、同じ講習会で

「筋トレよりも、有酸素運動(エアロビクス)が重要で、健康の第一目標はエアロビクス運動をやればよい。

このことは、高齢者の方も例外ではない」

と言っていた運動生理学の権威者も、その後は、素早く世界の実情に触れるようになって、自分の立場を180度変えた方もいます。

 

私の師匠の窪田登先生からも、そのことはよく聞かされていました。

日本体育協会の指導者講習会で

「筋トレは、身体に益はない。エアロビクスが最も大切である」

と言っていた教授は、

 

「窪田さん、いや世界では今はレジスタンス・エクサイズ(筋トレ)が主流になってきているようですな・・・・」

と、自分の主張をまったく変えた方もいたといいいます。

 

昔は、レジスタンス・エクサイズ(筋トレ)で、高齢者が筋トレをやるなど想像もしていない方が大半でした。

 

しかし、現在は多くの高齢者がフィットネスクラブに通い、筋力エクササイズを行うようになってきました。

 

昔とは格段の差があります。

 

と言っても、まだ「歩くだけで、十分に健康は維持できる」と思い込んでいる方が多く、多くの運動指導者もそのように主張しています。

 

私は、昔の講座では、

「高齢者は、歩くだけで健康には十分であり、これだけで高齢者には十分な体力が保持することができる―――というのは、聞こえは良いですが、まだ不十分です」

と言っていました。

 

「世間では、エアロビクスの有酸素運動が勧められていますが、まず筋肉レベルが低下したら、歩行そのものが制限されてしまいます。

 

高齢者は、まず正常に歩行できるだけの筋力ベースが必要です。

階段を「昇る」「下る」にも、しっかりとした筋力のベースが必要となります。

 

「走る」などのエアロビクス(有酸素運動)を行うにも、それを可能にする筋力ベースが必要なことは明らかなのです。

 

筋肉レベルの低下が、転倒を招いて、骨折の可能性を高めますので・・・・」

このような趣旨でした。

 

それが今、高齢者の「転倒・骨折から寝た切り状態になる」ことへの注意が高まってきています。

 

まず、エアロビクス(有酸素運動)を行うにも、足腰がしっかりとしていないと、何もできません。

 

寝たきりの要介護になる前段の「フレイル」段階では、エアロビクス(有酸素運動)も否定はしませんが、まず「立って歩ける」だけの最低限の筋力レベルがないと、話になりません。

 

では、歩くことを趣味にしているハイカーなどは、どうなのか―――

残念ながら、歩くだけでは、全体の筋量は確実に低下していきます。

このことは、彼らのデータから明らかになっています。

 

つまり、歩くだけでは「筋肉の低下、全身の機能低下」は防ぐことができないのです。

 

では―――筋肉が低下して、虚弱となる「フレイル」の前段である「サルコベニア」は、いつ頃から始まるのか。

 

それは、40歳前後といわれています。

 

あるデータによると―――

 

〇 BMI(体格指数)が、18.5未満

BMI(体格指数)とは、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で示されます。

〇 横断歩道を、青信号で渡り切れないことがある

〇 ペットボトルや瓶の蓋が開けにくい

これらにあてはまる方は、「要注意」となります。

 

この「BMI(体格指数)」は、多くの指標として用いられていますが、これには少し問題があります。

 

そこには、「筋量」による体重の増加は考慮がなくて、アスリートなどには適応できない問題があります。

 

そうは言っても、多くの健康指数でこのデータが用いられています。

 

そこで―――

 

1965年から50年間以上に渡って、継続して行なわれた調査では、75歳前後の男性の2300名のデータをみますと、

 

「普通型(健常者)」、「肥満型」、「やせ型」、「やせ型肥満」の4つのグループに分けたところ、

 

死亡リスクの24年間に及ぶデータでは、最も死亡リスクの高いのは「やせ型肥満」でした。

やせ型と、普通型(健常者)と肥満型は、死亡リスクにはそれほどの差はありませんでした。

 

やせ型とは、加齢とともに筋肉が減少した状態で、寿命に影響しているのは、肥満やメタボよりも筋肉不足なのです。

 

つまり、「やせ型肥満」の、痩せているのに肥満である高齢者の死亡リスクが最も高かったのです。

 

死亡リスクの高さには、筋肉の不足が大きく関わっていることが示されています。

このことは―――

 

かって米国のケネス・クーパーが主張した「エアロビクス理論」とは矛盾します。

彼は、健康・体力の向上の一番は、呼吸循環機能が向上がメインであり、筋肉の発達には、当初は目を向けていませんでした。

 

しかし、実際の示すデータからは、

まず、高齢者には「筋肉」をしっかりと確保することが大切になることを示しています。

 

ここまでは、多くの高齢者も理解できる思われます。

 

では―――現在の「あなた」は、「フレイル」なのか、それともその前段である「サルコべニア」なのか、

 

また、そのレベルによって、今後数年後には「要介護」「認知症」のリスクが大きくなっていくのか―――このことを自分自身でチェックする必要があります。

 

それは―――

 

             つづく

 

          2024年3月12日記