生命体エナジー循環と体軸(その2)
――そこに至るまでの軌跡その2――
私が カイロプラクティックの専門学校に入るきっかけとなった「AK(アプライドキネシオロジー)」の限界にも 気づいていました。
「まったくオーソドックスなテクニックに終始していた・・・・」
と、感想を寄せています。
そのカイロプラクターは、AKの卓越した 様々なテクニックを披露してくれるものと思って参加していたのに、まったくの期待外れであったようです。
AKの大御所でも、実際の治療では、従来からあるテクニックを用いていたのです。
自分の開発した「AK」の様々なテクニックを駆使して、対処するーーーということではなかったようです。
米国においても、初めて代替医療のカイロドクターとして、オリンピック選手のサポートとして同行しています。
その関係者は 「AKは・・・実際の治療現場では、ほとんど使われていないよ」と言っていました。
これを聞いたとき「あれ!?」と思いました。
「この人はAKを本当に知っているのか?」と、疑念さえ抱いたのを憶えています。
しかしーーー
確かに・・・・そうなのです。
その基礎理論としては身につけていても、現実的な対処には 最も使いやすい別のテクニックを用いている―――これが現実のようなのです。
実際の現場では 最も自分に適した、なおかつ有効なテクニックを駆使する必要があることに気づかされたのです。
人体への本質的なアプローチは、
◆ よりシンプルであり、シンプル・イズ・ベストである。脳が受け入れる
◆ 刺激は体軸がとれるが、脳が受け入れない刺激は体軸が崩れたままである(全てのテクニックの良否は、この1点が絶対的な判断基準となる)。
◆ 体軸が確保されるシンプルな刺激が、最も生体にとって適切なものとなる。
このような ホリスティック・コンディショニングにおける基本理念が確固たるものとなると、生体エネルギーに視点が移っていくようになりました。
そして、私は気がついたのです。
このような本質的な見解は、アインシュタイにも通じるものがあります。
このことは、数千年にわたり 過去の人々が説いてきた「根源的な教え」を、アインシュタイは 物理学で証明したのです。
「生物、無生物に関わりなく、すべてのものはエネルギー(エナジー)で できており、すべてのものはエネルギーを放出している」
このように述べているのです。
この視点は、今もその人体へのアプローチのバックボーンとなっています。
そしてーーー
一般論としてのトレーニング論ではなくて、各個人の個体差に視点が移り
□ なぜ、同じようなエクササイズを行なって、抑制弱化反応と過剰促通反応が示されてしまうのか
□ トレーニング方法を画一化できない根本的な要因とは、何か?
といった疑問点を、
(好きなことを自ら進んで)解明するために、様々なアプローチを試みるようになり、『その道を好む』段階に入っていった、ように思っています。
そして現在、
□ まだ一般論として確立されていない「生命体エナジー循環」と「適切な運動機能対処法」について、
新たな視点でアプローチして、システマチックな方法論を確立したい、という意識が強く働いています。
これは楽しい。
日々新たな発見があって、人体の奥深さを知れば知るほど、それを追及する楽しさがたまらないのです。
トレーニング方法論や治療系技術の習得とは、比べ物にならないほどわくわくします。
自分では『その道を楽しむ』段階に入っていると、勝手に思い込んでいます。
それらが皆、身体のコンディションを正常に保つ方法論に繋がって行くからです。
西洋医学で明らかになってきたことは、すでに東洋においては―――
はるか昔に解明されている(気がついて、その対処方法も研究されている)。
西洋の論理的な実践方法だけでは、限界があるのではないか。
ということなのです。
我々は、ともすると「欧米諸国では・・・このように行なっている」とか「これが欧米における最新の捉え方である」などと、常にコンディショニングにおいては 欧米の情報が最善のものであると思い込んできたきらいがあります。
だが―――
多くのスポーツに有効に活かせる反射点・反応点は、経絡のツボとして昔から様々な症状に活用されるだけではなくて、武道や武術にも応用実践されているものなのです。
スポーツ・コンディションに有効に活用できる身体の反応点の多くは、調べれば調べるほど、東洋においては、はるか昔から実際に活用されてきた「賦活ポイント」であることが理解されるのです。
もちろん、東洋の叡智だけではまた、実践的な現場で対処しきれないことが多くあります。
そのためには―――
西洋の理論と東洋の叡智を融合させて、新たな視点でのスポーツ・コンディショニング方法論を構築する必要があるのではないか。
というように考えています。
私がコンディショニングを基本として、人体を最適な状態に導くことに視点が移っていった当時は、
ストレングス・トレーニングとケアは、セットでは捉えられていませんでした。
米国では、「スチレングス・コーチ」と「アスレッチック・コーチ(主にケアに対処)」は、別個で活動するものでした(チームでは連携します)。
ましてや「医療系」は「ドクター」が存在していて、お互いの立場を尊重して、自分の範囲内での活動が中心でした。
コンディショニング系―ストレングス系の立場の者は、医療系、身体のケアについては、立場を異にして、踏み込むべきではないという風潮がありました。
自分でいうのは憚れますが、「ストレングス・トレーニング(コンディショニング)」の中に、身体の弱化反応を改善するための治療系のコンディショニングを組み込んだ私の立場は、先駆的なものだったといえるかもしれません。
その当時の 私の集大成として取り組んだ「ホリスティック・コンディショニング上巻(1)および下巻(2)」(スキージャーナル社)では、よくあれだけのものを出版してもらえたものーーーと思っています。
最初は、スポーツ書籍関連から大修館書店に話を持ち込みましたが、売れ筋は1500円から2000円程度の本なので、この内容をコンパクトにしてくれないか、と言われました。
自分のコンディショニング系の集大成であるので、そこは譲ることができずに、スキージャーナル社にお願いすることにしたのです。
今までになかった、スポーツ現場で直接役立つ 身体の歪みも整える内容の書籍を目指したものでした。
スポーツ・コンディショニングの中に、身体調整のケア系の内容も含めた、いわばタブーに挑戦するつもりが片隅にありました。
時代は巡り、今ではコンディショニングのストレングス・トレーニングの現場でも、即効で治療系のアジャストを行うのは、当たり前になりつつあります。
つづく
2017年5月29日記