≪ 肩の痛みと原因 その7 ≫
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「抑制弱化筋」と それに伴う「緊張筋」による身体のゆがみの修正には、どうしても本質的な対処方法が 必要となるだ―――と 述べました。
今回は 本シリーズの「その5」で挙げた もう一つの対処方法
○ 抑制弱化を引き起こしている筋に関わる椎骨の修正
について、もう少し詳しく見ていきたいと思います。
構造体のメジャーポイント(身体全体を、すべて適正に修正するポイント)を探して、その部位を修正する―――ということは、誰もが直ぐにできるものではありません。
カイロプラクティックで、『ガンステッド・テクニック』を開発したドクター・ガンステッドは、X線画像を駆使して 椎骨の矯正角度などをチェックして アジャストしました。
しかし、全米中から彼の治療を受けるために、多くの人が集まりましたが、彼のアジャスト・テクニックが優れていたからでは ありません。
その神髄は―――
○ 神経干渉を起こしている部位に、治療ポイントが集約されていたか らです。
つまり、メジャー・ポイントを探し出していたのです。
だから―――人は本来の治癒力を刺激されて、治ったのです。
私は、このメジャー・ポイントを 次の2つに分けています。
○ 構造的メジャー・ポイント
○ 機能的メジャー・ポイント
少し難しくなりますが、ひとつの例を挙げて説明します。
次の図は、骨盤の仙骨をサポートする『梨状筋(りじょうきん)』です。
図は 左右の梨状筋を示します。
この梨状筋は―――
坐骨神経痛を誘発する典型的な部位で、「梨状筋症候群」として 『腰痛』の原因として たびたび登場します。
梨状筋の下側を「坐骨神経」や「血管」などが走っており、過緊張している側の梨状筋圧迫により
○ 臀部から膝に達する「しびれ感」などの症状が、腰痛に伴って現わ れます。
○ この過緊張した臀部の梨状筋を「ゆるめる」ことで、対処します。
治療家の多くが、その症状を起こしている「過緊張した梨状筋」に焦点を当てて対処する と思います。
しかし―――坐骨神経を圧迫している過緊張した利状筋は、誘発された結果であって、原因ではありません。
確かに―――梨状筋症候群による「腰痛」という「症状」は、その過緊張した梨状筋側に出現しますが、
その部位だけでみたら―――原因は、抑制弱化した対側の梨状筋です。
抑制弱化した梨状筋(伸びてしまう)と、対(つい)となっている対側の梨状筋(短縮する)は―――結果として、仙骨を傾けてしまい、様々な症状を誘発する直接の原因となるのです。
では―――
・ 梨状筋を抑制弱化させている原因は?
これには―――胸椎から腰椎まで、様々な「椎骨の変位」が、梨状筋抑制の「誘発要因」となっています。
つまり―――
● 構造的メジャー・ポイントとして、特定の「椎骨」を正常化するこ とで、梨状筋の抑制弱化が解消します。
結果として、 対側の過緊張した梨状筋が緩んで 左右のバランスを回復して―――「坐骨神経痛」「腰痛」「臀部のしびれ感」などの症状が消失します。
通常は、この構造的メジャー・ポイントの対処までが メインとなります。
しかし、さらに追及すると―――なぜ、そのメジャー・ポイントとなる椎骨が歪んだのか・・・・という疑問が起こります。
それが、「副腎」や「肝機能低下」あるいは「消化器系異常」などに起因するのであれば―――その異常反応を示す『内臓』などを修正する必要があります。
この内面に関わるメジャー・ポイントが
● 機能的メジャー・ポイント
と、我われが呼んでいるものです。
これについては、「チェック方法」「その対処方法」など、「構造体の根本原因」に関わってきますので、いずれ機会があれば 公開していきたいと思います。